マンションを購入するときは、物件を目で確かめて、価格に納得してから判断することができますが、マンション売却では、価格をはじめとした条件を自分で決める必要があります。
価格はいくらにしてもいいですが、その条件で買うかは買手次第のため、高すぎるとなかなか売ることができずに、時間がかかったり、値下げが必要になる場合もあります。
不動産は、広さや住所が似ていても、同じ条件のものは二つとないため、決まった価格はなく、取引ができた金額こそがその物件の時価といえます。
一方、相続財産としての不動産の評価は路線価で行います。
路線価とは、年に一度国税庁が公表していて、文字通り地図上の路線に価格を付けて、土地が面している道路の路線価に面積をかけたものが相続税評価になります。
マンションの場合、土地は所有者全員で共有するため、一人当たりの土地に対する相続税評価額は実際の取引金額より低くなります。
そこで、とくに一人当たりの土地の共有持ち分が少ない、世帯数が多いタワーマンションなどは節税効果が注目されています。たとえば5千万円の現金には5千万円分の相続税がかかりますが、同じ5千万円の価値があっても、評価が3千万円なら、その分相続税の節税になるためです。
マンション売却をする場合、どのような人がどういう目的で買うかの需要を予測することが大切です。
自分のマンションの、路線価をもとにした相続税評価を知っておくことは、マンション売却の価格を決める上でも有効です。
更地の課税評価額に地域ごとに定められた借地権割合を乗じて評価される
土地や建物など、不動産といえば高価な財産野田評価苦で、俗な表現ですが”土地持ち”といえばお金持ちの代名詞としても使われます。
一方で、借地借家法という法律で、借地人や借家人の権利はきちんと保護されていて、所有者といえども、自分の都合で貸している相手を追い出すことはできません。
その為、借地は、所有者が自由に処分=売却したり、他の用途に転用できないことから、本来の価値を完全に持ってはいないことになります。
これを相続税や贈与税の課税評価額に反映するのが借地権割合です。
不動産の時価評価は、計算上の数字ではなく、買い手がいなければその価値はありませんが、相続税や贈与税の課税のためには、財産の価値を客観的に知る必要があります。
土地の課税評価額は、年に一度国税庁が公表する、路線価図や、都市部を離れて取引が盛んでない地域で、路線価図に代えて利用する評価倍率表を基に計算します。
路線価や評価倍率表には、地域ごとに借地権割合も決められています。
路線価や評価倍率表を基に計算した課税評価額に、借地権割合が60%の地域なら、全体の60%が借地人、残りの40%が所有者の権利の価格で、両方を合わせると、課税評価額と同じ金額になります。
借地人は、所有者でなくてもそれくらい強く保護されていることのあかしとも言えます。
ただし、相続税の納税資金などで、将来売却を予定している土地を借地にすると、利用方法が制限されますが、当面使う予定はなくても、手放す気がない土地なら、借地にすることで課税評価額を圧縮し、相続税の節税には有効です。